【人・街・声】御徒町 笹本繁宏さん(87) たばこ店主が写した思い出 (産経新聞)

 今年開校106年を迎える下町・上野の台東区立黒門小学校。戦争前に建てられたレトロな校舎に443冊の写真アルバムが保管されている。中身は昭和から平成にかけての14年間、入学式や運動会などで子供たちの姿を生き生きと写した約3万枚。カメラマンは専門の業者ではなく、近所のたばこ店主だった。(徳光一輝)

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 ≪学校生活の記録(S54年度より)笹本繁宏氏の寄贈によるアルバム≫

 昭和5年に建てられた校舎3階にある板張りの会議室。木製の大きな本棚にこう張り紙が出ていた。ガラス戸を開けたら「セキセイポケットアルバム」がぎっしり。最初は昭和54年の「大運動会」で、最後は平成4年の入学式。背表紙に丸っこい字体で「こいのぼり集会」「七夕集会」「日光林間学園」「学芸会」「日曜授業参観」「もちつき集会」…と行事名が記され、整然と並んでいた。

 443冊にサービス判のカラー写真が72枚ずつ収めてあり、単純計算で3万1896枚。「すごい数ですね」と話す現在の副校長、石田隆さん(46)によると、平成4年以降はずっと業者を雇っている。

 石田さんは「アマチュアの方に頼むのは珍しい。今のご時世だと『なぜプロでない人が撮っているの? 目的は何ですか?』という話になってしまう」。

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 黒門小から東へ400メートル余り。JR御徒町駅南口にある「笹本たばこ店」のレジ前にカメラマンは立っていた。昭和33年創業。扱うたばこは500種類。壁一面にカートンが黒門小のアルバム同様、整然と並ぶ。

 白い頭髪と白いヤギひげを同じ長さだけ生やした店主は「ずっと前にササモトさんの子供3人がみんな黒門小を卒業しているんだ。その縁で卒業式の写真を頼まれて、『写真のおじさん』ということでやったんだよ」。自分で自分をササモトさんと呼んだ。

 「子供たちも偏って写しちゃいけない。特定の子ばかり写していると、ほかの子がかわいそうだからね。それで枚数が増えた。修学旅行や林間学校も泊まりがけで同行して、先生たちの反省会にも出ていました」

 大正11年、仲御徒町生まれ。昭和17年に早大法学部を繰り上げ卒業して日本鋼管(現JFEスチール)に入社した。19年4月、鈴本演芸場の寄席から帰宅したら赤紙が届いていた。敗戦でシベリア抑留2年半。帰還後に復職し、55歳の定年まで勤め上げた。

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 カメラを始めたのは旧制中学時代。戦後はアマチュア団体の名門「プレザントクラブ」に37年間参加した。カメラ誌のグラビアを飾り、定年前年の51年には東京の風景を写し撮った個展「写版東京図会(ずえ)」を銀座ニコンサロンで開いた。

 定年後、母と妻が営んでいたたばこ店に専念していたとき、黒門小の「写真のおじさん」を頼まれた。

 昨年8月からは店番の合間、素足にサンダル履きでカメラをぶら下げ、山手線に乗って東京の街を写して歩いている。行きたい街をメモ用紙にリストアップし、ひと駅ずつ降りて回る。タイトルは「平成写版東京図会」。

 33年ぶりの東京の風景は「子供が少なくなったね。昔は道路が遊び場だった」。

 かつてカメラに収めた黒門っ子たちも三十路、四十路。

 「街を歩いていると、時々顔を合わせるよ。みんな大きくなったなあ」

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「脱官僚依存」政権に官僚の嘆き、戸惑い(産経新聞)

 「脱官僚依存」を掲げる民主党政権下で、中央省庁官僚が閣僚たちへの不平不満を募らせている。「ノー残業デー」の夜遅くに官庁視察を行ったり、就任後一度も所管部署に顔を出さなかったりと、閣僚らの気ままな対応が目立つためだ。政治主導を目指す鳩山政権だが、官僚との距離感は相変わらずつかめずにいるようだ。

 官僚の働きぶりのチェックに余念がないのが、平野博文官房長官だ。平成21年9月の就任以降、内閣官房内の所管部局を相次いで訪問して、官僚たちを叱咤激励している。

 政府の諜報(ちようほう)活動を担う内閣情報調査室も昨秋に視察した。ただ、この日は「ノー残業デー」にあたり、定時退庁時刻(午後6時15分)をはるかに過ぎた深夜の訪問だったことから、「定時退庁日は超過勤務削減が目的で設定され、行政の無駄を省くことにも寄与する。平野氏のやり方は行政改革と逆行している」(政府関係者)と不満が噴出した。

 熱心さが疎まれている平野氏と対照的なのが、中井洽拉致問題担当相。実は所管の拉致問題対策本部事務局に就任から、一度も顔を出していない。「こんなに長期間、職員の仕事ぶりを見に来ない担当大臣は、自民党政権下で見たことがなかった。4日の仕事初めにすら来なかった。拉致問題解決に真剣に取り組んでいるといえるのか」(公安筋)と手厳しい見方もある。

 官僚に最も戸惑いと不安を与えたのは、仙谷由人行政刷新担当相だ。仙谷氏が昨年12月17日、政府の国家公務員制度改革推進本部の立花宏事務局長ら幹部10人を突然、更迭したからだ。

 仙谷氏には事務局幹部を一新することで、政治主導をアピールする狙いがあった。だが、事務局関係者は「一つの部局で幹部官僚らのクビを2ケタも切るのは異例だ。中でも実務に慣れた参事官5人全員を飛ばしてしまい、来年の通常国会で提出を目指す公務員制度改革関連法案の作成にも不安が残る」と憤る。

 今後、「政治の文化大革命」を主張する仙谷氏の“粛清”を見習う閣僚も出てきかねず、「政治主導」の試行錯誤はまだまだ続きそうだ。(比護義則)

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